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コラム

心身医学

ストレスチェック制度に魂を!

皆様ご存知の方も多いと思いますが、2014年6月に改正労働安全衛生法(ストレスチェック義務化法案)が成立して、2015年12月から施行されます。

思い起こせば30数年前に東大病院心療内科で診療をしていたころ、次々と職場の問題でこじれて種々の心身の症状を呈して多くの患者さんがやってきました。こんな状態になる前に、早く気づいて早く対処すれば病気にならないで済んだ人も多く、一次予防の必要性を痛感していました。そこで、産業医活動や職場でのメンタルヘルス活動に取り組むことになりました。ある企業では、理解のある社長さんの指示で、全社員にメンタルヘルス研修会を受講させるということで、30数回研修会を行ったこともあります。また、ストレスチェック質問紙を開発し、社員に対して一次予防目的で、個人へのフィードバックを自動化するというシステムも開発しました。今日では、当然のように行われていることでも、当時としては斬新な試みであったと自負しています。

その後、旧労働省の時代から、職場のメンタルヘルスに対してさまざまは施策が実施され、ついにストレスチェック制度が制定されました。検討委員会でもいろいろな議論を経て、紆余曲折した結果ですので、実施にあたってはさまざまな問題が想定されています。実際やってみて、その後再検討するという見切り発車的なところはありますが、とにかく世界でもはじめての施策なので、この制度を何とか活用して良い成果を出せればと期待しています。

ここで、重要になるのが産業医の役割です。これまでは、産業医というと引退してヒマになった先生とか(失礼!)、非常勤嘱託で本業の片手間に(これも失礼!)やる気楽な仕事という認識が一般的であったと思います。もちろん、産業医としての専門性を追求して真摯に取り組んでおられる先生の多いことは事実ですが。この制度においては、産業医がストレスチェック実施者であり、高ストレス者への面接指導やその結果により会社に対して就業上の配慮を含めた意見書を具申するという重要な責任を担うことになります。産業医の実態調査によれば、内科、外科の先生が圧倒的に多く、精神科医あるいは心療内科医は1割程度です。メンタルはきらいだ、あるいは面接指導はやったことがない、という産業医が多い中で、この制度を活用するためには、やはり心療内科の専門性を強調すべきであろうと思います。ストレス関連疾患には、うつ病などの精神障害だけではなく、心身症などの身体疾患も含まれています。ストレスに気づき、早く対処する術を身につけることで、多くの疾患を予防し、健康な生活を送ることができます。ひいては、医療費の大幅な削減を見込める道筋が開けているのです。

心身医学を専門とする先生方は、一念発起してこのストレスチェック制度に魂を入れる役割を果たそうではありませんか!

この小論について、多くの先生方からのご批判、ご指導を期待していますので、遠慮なく意見をお寄せください。

早稲田大学人間科学学術院
野村 忍

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