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コラム

心身医学

自分を大切にすること~自尊感情について~

自尊感情(セルフ・エスティーム)とは、自己に対する評価感情で、自分に価値があると思える感情、自分自身を大切に思える感情です。自尊感情が低いと、何ごとにも自信が持てず、不安を抱きやすく、落ち込みやすくなります。また、人からの評価(若い人であれば、親の評価、教師の評価、友人の評価)に左右されやすくなります。少し叱られただけで、自分はだめな人間だ、と価値が極端に落ちてしまうこともあります。2011年に日本青少年研究所が高校生を対象に行った調査によると、日本の若者の自尊感情が諸外国に比べて低いという結果が出たそうです。友だち関係の問題から抑うつ的になり、「自分なんていない方がいいのではないか」と極端に考えてしまいやすくなる恐れがあります。

また、思春期になると身体のイメージに左右されやすく、外見的な美しさにこだわりやすくなります。これが若い女性に多い拒食症や過食症といった摂食障害になる要因の一つになってしまうのです。

自尊感情は、自分にとって重要な人から無条件に大切にされることではぐくまれていく感情です。幼少時から、重要な人から無条件の愛情を受けるということがどんなに大切かがよくわかります。ロバート・エムディ(乳幼児精神医学)は、ソーシャル・リファレンシング(Social referencing)という言葉を用いています。子どもが初めてのものに遭遇したときに不安をもち、振り返った時、それを見守って反応を返してくれる存在があるかどうかが重要であると述べています。つまり、子どもが不安をもった時など、その不安を共有してあげられるような温かい気持ちに見守られた経験がどれだけあるかによって、社会的なルールを守ることができるようになるかどうかが大きく左右されるのです。おそらく、自分を大切にできると、相手を大切にできるようになり、そして社会全体を大切に思えるようになるのでしょう。

では、不幸にも自尊感情が低い人は、どうすればよいのでしょうか? 赤ちゃんにもどってやり直すことはできないので、もはやどうにもならないのでしょうか? 今からでも大丈夫です。他の人から尊重されることで、少しずつですがはぐくまれていくものであると思います。

相互に認め合い、尊重しあえる社会になることを心から祈っています。

広島大学保健管理センター
岡本 百合

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